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キューガーデンのボタニカルアートと、アール・デコ様式の装飾を愛でる

カテゴリ:令和3年度

投稿日:2021年12月08日

目黒駅でふと見かけたポスターに「英国王室」と「キューガーデン」という文字が躍っていた。2つのキーワードが胸に突き刺さり、早速「キューガーデン:英国王室が愛した花々―シャーロット王妃とボタニカルアート展」が開催されている東京都庭園美術館へ足を運んだ。英国といえば「紅茶の国」、しかしガーデンの国でもある。
キューガーデンが象徴する“イングリッシュ・ガーデン”とは「自然を主役にした風景式庭園で17世紀から18世紀の英国で発達した。フランス式ガーデンでつかわれる幾何学的デザインの花壇などを排除して、自然な植栽のなかに曲線の遊歩道を配置した、いわば山野や農村地帯の景観をそのまま庭園とするもの」(参考:恵泉大学・恵泉ディクショナリー)。英国人のガーデン愛は深い。
今回の展覧会は「キューガーデン」が所蔵するボタニカルアート(植物画あるいは植物細密画)の展覧会が、旧朝香宮廷である東京都庭園美術館で開催されており、「1粒で2度おいしい」展覧会となっている。すなわち、旧朝香宮廷の美しい建物・装飾を愛でながら、そこに飾られた精密な描写と美しさを兼ね備えている数々のボタニカルアート(植物画)を楽しむことができるのだ。
「キューガーデン」(正式名、英国王立植物園)は、英国王ジョージ3世(1738年-1820年)の母であるオーガスタ皇太子妃が1759年に開設した小さな庭園を起源とする。その後ジョージ3世とその妻であるシャーロット王妃の時代に飛躍的に発展を遂げる。現在では世界を代表する植物園となり、広さ132ヘクタール(東京ドーム28個分)の敷地内に、3万種以上の植物と、1万4千本の樹木が植えられている。世界遺産にも指定され、世界有数の観光地である一方、植物と菌類の分野で世界をリードする世界的研究機関でもある。3万種の植物の種子も保存している。
今回の展示はシャーロット王妃(1744年-1818年)に焦点を絞り、シャーロット王妃の時代に制作されたボタニカルアート100点余りと、王妃が愛用したウェッジウッド製の陶器「クイーンズウェア(王妃の陶器)」などが展示されている。
展示は5部から構成されている。

(1)「英国王室と共に歩んだ植物園」の部
17世紀から18世紀になると英国(及びフランス)に強大な権力をもつ君主が誕生し、彼らが「博物学」を重視するようになった。そういった流れで1759年にキューガーデンが設立された。英国王室と植物園はその後も深いつながりを保ち、多くの「ボタニカルアート」(植物画)が制作された。ここには著名な画家による植物画と、とりわけイングランドの国花であるバラの植物画が展示されている。

(2)「シャーロット王妃がつないだ文化の開花」の部
17世紀から18世紀に英国で起きた産業革命の時代には王室が科学と産業の発展の一翼を担った。ジョージ3世の妻であったシャーロット王妃は芸術と科学を愛し、英国の産業発展に寄与した。ここにはシャーロット王妃の肖像画とともに、シャーロット王妃が好んだウェッジウッドのテーブルウェアや花器などが並ぶ。
(3)「女性画家たち」の部
18世紀には植物学や水彩画を学ぶことが女性の教養の1つとされ、多くの女性の植物画家が誕生した。女性の職業画家を産むことで、ボタニカルアートは女性の人権運動の活動をも後押しした。ここには当時活躍した多くの女性の植物画家の作品が紹介されている。
(4)「カーティス・ボタニカル・マガジン」の部
1787年に英国で創刊された「カーティス・ボタニカル・マガジン」を紹介。同マガジンは今も王立植物園により刊行されている。ここでは「カーティス・ボタニカル・マガジン」に掲載された専属画家が描いた精密なボタニカルアートが数多く展示されている。
(5)「カンパニー・スクール」の部
「カンパニー」とはイギリス東インド会社を指し、18世紀後半から19世紀にかけて、英国のために植物画を制作したインド人(一部東南アジア人)画家たちを「カンパニー・スクール」と呼んでいる。ここにはカンパニー・スクールの画家たちが描いたボタニカルアート作品が展示されている。
ギャラリーの一角には「ドローイングルーム」も再現されている。同ルームはお客様をもてなす応接間であるが、女性を中心とした社交の場としても使われた。ボタニカルアートの制作にも使われたという。本物と見間違えるような正確・精密さと、心を打つ美しさを兼ね備えたボタニカルアートとクイーンズウェアを見学した後は、美術館裏に造られているガーデンを探索する。澄み切った池に紅葉が生える日本庭園と、黄色のイチョウの枝ぶりが美しい西洋庭園。山手線の駅から徒歩5分の場所とは思えない時空を超えた経験が堪能できる。

新型コロナウイルスが駆逐され国境が開かれた暁には、是非英国へ飛び、まずキューガーデンを訪ねようと心に決めた。
[環境情報活動センターより]
キューガーデンが象徴する“イングリッシュ・ガーデン”とは「自然を主役にした風景式庭園」で、イギリスの田舎で見られる自然の風景を庭で楽しむスタイルとなっています。自然を愛する心は万国共通です。

令和3年12月3日
環境記者 三森八重子

カテゴリ:令和3年度

投稿日:2021年12月08日