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海洋プラスチックごみについて考えよう

カテゴリ:令和3年度

投稿日:2021年10月14日

 令和3年9月25日(土)環境学習講座「海洋プラスチックごみについて考えよう~今、各地の海で起きていること」が開催されました。講師は海の環境NPO法人・OWS理事の池上喜代壱氏です。海洋プラスチックごみについての理解、発生のメカニズム、様々な影響、日本各地の現状などをお話しいただき、私たちにできることを考えました。

(1)海洋プラスチックごみ問題とは
 人間の様々な活動から出たごみ等が、本来の処理ルートから外れて環境中に漏れ出ることにより、海洋の環境を汚染する問題です。特にプラスチックごみ(以下「プラごみ」)は自然に分解しにくいため、長期間にわたって環境を汚染することになり、とりわけ海洋では効率的に回収する手段がなく、ほぼ減らすことができません。

 それらのごみはどこから生まれたのでしょう。
海のごみは海で捨てられていると思っている人が多いと思いますが、環境省の報告書によれば、実は食品や飲料など、私たちの日常生活から生み出されたものが大半です。(上図)
このまま続けば2050年にはプラスチックが魚より重さで多くなるという推計もあります。重さで多くなるということは、量(かさ)でいえば魚よりはるかに多くなるということです。

(2)海洋ごみ(プラごみ)発生のメカニズム(どうしてそんなことが起きるのか)

①使い捨てライターを用いた海洋ごみ発生源の推定
やはり環境省の報告書にありますが、伊勢湾内のごみは、実は愛知県、岐阜県、三重県、静岡県の内陸部から川などを伝って海に流れて来ていることが明らかになりました。
●●ライターに記載された店の名前、電話番号、住所から、だいたいこのあたりで使われたものであることがわかります。
②鹿児島大学の藤枝繁先生の推計では、瀬戸内海に1年間に流れ込むプラごみの2/3が陸で捨てられたもので、それらが海を汚しているとのことです。
なぜ陸で捨てられたごみが海に流れ出るか疑問に思うでしょう。道路わきの排水溝などの水の多くは下水処理場には送られず、そのまま川や海に流されるのです。
【参考】東京都環境局ホームページ/「発生抑制対策」
リーフレット「東京のポイ捨てが、太平洋の海ごみになっている。」leaflet2019.pdf (tokyo.lg.jp)
(3)海洋ごみ(プラごみ)の影響(なぜ海にプラごみがあることが問題なのか)
 下図はミッドウェー環礁(海鳥の楽園で、コアホウドリの世界最大の繁殖地)での調査結果です。
漂着プラごみ(ディスポーザブルライター)を拾い集めて製造国の割合を見ると、約半分が日本のライターでした。ミッドウェーは日本から4,000km離れた無人島ですが、太平洋には「北太平洋還流」と呼ばれる大きな流れがあり、その近くにあるミッドウェーにごみが集まります。太平洋には、多くの日本のごみがあるのです。

左下の写真は、死んだコアホウドリのヒナの胃の中にあったものです。コアホウドリの親鳥(右下写真)が、海に漂っているプラごみをエサと間違えてヒナに与えてしまったためです。

(4)日本各地のごみ
・沖縄県の西表島と長崎県の対馬のケース

・鎌倉市材木座海岸

・その他各地域の現状について紹介がありました。
・これも環境省の報告書からですが、日本の海岸に漂着したペットボトルの製造国別割合を見ると、日本海側や沖縄では外国のごみが、太平洋岸は日本のごみが多く、全国的に見ると日本のごみが多くありました。

(5)日本のプラごみの現状と世界のプラごみ規制
・使い捨てプラごみ排出量やミッドウェーでのディスポーザブルライターの国別比率の高さなど、残念ながら日本は世界でも上位レベルにあります。
・世界のプラスチック規制を見ると、レジ袋の使用が法的に規制されている国、使い捨て食器や容器等が禁止になる国、ペットボトル飲料への対応(販売禁止になる地域、小型ボトル禁止)など、世界では日本より先に様々な規制がなされるようになっています。
(6)3つのお願い(主にお子さんに)
①ごみの処理をきちんとする。
②落ちているごみを見たら拾う。
そもそもごみを出さない暮らしをする。・・・これが一番大切
(大人の方にはさらに3つのお願いをさせていただきます)
④ぜひ現場を見てください。
⑤きちんと調べましょう。
⑥自分で考えて、判断して、具体的に行動してください。

【補足】東日本大震災の際の津波で発生した大量の漂流物がアメリカやカナダの西海岸に漂着しました。日本政府も見舞金による支援などはしましたが、多くは現地のNPOやNGOが自分たちの負担で回収・処理をしてくれました。私はNPOの連絡会議などでアメリカやカナダの人と話をする機会がありました。彼らは大きな負担を強いられたのですが、日本人の受けた苦労を思えば批判する気にはなれないと言ってくれました。そのことを取り上げてくれたメディアは少なかったので、知らない人が多いことは残念です。

カテゴリ:令和3年度

投稿日:2021年10月14日