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過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2~3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。(過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

マレーシア・ボルネオ島の世界自然遺産キナバルパークと周辺の大自然

カテゴリ:平成27年度

投稿日:2015年11月17日

 平成27年11月3日(火)、環境情報活動センターにおいて環境学習講座「マレーシア・ボルネオ島の世界自然遺産キナバルパークと周辺の大自然」が開催されました。
講師の倉田智子さん(環境カウンセラー)は、過去に4度当地を訪れており、その貴重な体験をお話ししていただきました。
・マレーシア・サバ州の位置と国立公園発足までの経過
世界で3番目に大きい島「ボルネオ島」、この島はブルネイとマレーシア、インドネシアの3国から成っています。キナバル山はマレーシア・サバ州にあり、東南アジア最高峰の高さを誇ります。4095mと富士山よりも高いので、登山好きな日本人にとっては魅力のようです。初登頂は1851年で、英国人ヒュー・ロー、主峰ローズピークは彼の名前に因んでつけられました。
植民地時代、アジアにはプラントハンターや支配層の外国人が闊歩していました。サバ州はイギリス北ボルネオ会社が支配し、第二次世界大戦時の日本の占領時代を経てもなお、植民地状態は続きました。サバ州がサラワク州と共にマレーシア連邦に加わったのは、1963年のことです。
キナバル山は1964年に国立公園に制定され、登山ルートの確立のほか、生態系保全のための整備が始まりました。初めて訪問した1971年は、州都コタキナバルから登山口までの道路は切り拓かれたばかりで、ランドローバーの四輪駆動車が粘土質の路面に難儀をし、車体がくねるたびに谷底に落ちはしないかと思うような、スリルに満ちた行程でした。現在は2時間で到着します。
                         
・世界自然遺産
キナバルパークは2000年に世界自然遺産に登録されました。公園本部には世界遺産登録記念のモニュメントや、キナバル自然史展示館、植物標本庫館、植物園などがあります。登山には入山手続が必要で、宿泊施設が点在しています。12月1日には頂上へのルートが再開しますが、利用制限があり一日100人となるようです。
ユネスコにはもう一つ、「Bio-sphere Reserves」(日本においてはユネスコ・エコパークと呼ぶ)という生物圏保護区の制度があり、生態系の保全と持続可能な利活用の調和がうたわれています。自然と人間社会の共生が目的で、キナバルパークは近接する地区(クロッカー山脈)を含めて、観光が成り立つ方策が取られています。
  
・日本とのかかわり
 北ボルネオ会社の統治時代、首都はサンダカンで、日本は木材、天然ゴム、たばこ、コプラ(ココヤシの乾燥胚乳)を輸入、また日本人経営のゴム農園があったようです。占領時代になるとキナバル山の各ピークは日本名に替えられました。クンダサンには、「サンダカン死の行進」の犠牲者を悼む戦争記念公園があり、海洋公園には錆びついた砲弾が展示されています。
1970年代には日本企業がキナバル山系隣接区域で銅の採掘を手掛けました。マムート銅山といいます。資材や鉱石の運搬道路がラフレシア自生地を通過する計画でした。ラフレシアは根も葉もない全寄生植物です。移植は容易ではありません。
計画を知ったサバ州森林局のメイヤー博士は道路の迂回を求めました。博士はサバ州に自生するラフレシア3種のうち2種を命名(新種発表は5種)した方です。鉱山は1999年に操業を終了しました。道路迂回の話は現地でもすでに忘れられている状況ですが、この事実は伝えていくべきと考えます。また銅鉱石は製錬せずに輸出されたので、環境汚染から免れたことも特筆されます。

・おすすめー多様な生き物が暮らすキナバル ウエットランド センター
コタキナバル市内にある、市民が開発計画を阻止し保全した湿地です。木道に従って場内を行くと、マングローブの種類がいろいろあることが分かります。日陰にはカニが、陽射しが強い開けたところには巻貝がうごめいています。木道の杭にはカキが付着し、海とつながっています。

 
・海洋公園
南シナ海に位置するトゥンク・アブドゥル・ラーマン公園は4島あります。海域は使用制限があり、海の楽しみ方は島ごとに異なります。波打ち際を徘徊するオオミズトカゲ(英名モニター)を見つけました。
   
                                         
・その他
移動中に火事のような焼け焦げた跡が随所にあり、当初アブラヤシのプランテーションの造成を想像しました。あとからたばこのポイ捨てによる延焼と知りました。道理で道路に近い地点ばかりが焦げていたわけで、乾季ということもあり消火活動が追いつかないほど発生しているといいます。地下水位が高いのか、枯死したように見える木々から芽が吹いていました。サバ州が泥炭地でないことは幸いです。
ロッカウイのワイルドパークで動物を見た後、テングザルのリバークルーズに出かけました。サルたちが採餌する午前中の時間を選んだため、群れず、しかも逃げ足が速く、動体視力だけが鍛えられた感じでした。
4月14〜5月17日に東京都夢の島公園熱帯植物館において「ボルネオ展」が開催され、資料は素晴らしいものでした。植物館のご厚意により講座参加のみなさまに配布ができました。御礼申し上げます。
・受講された方の声
「自然の力と絶滅に人間は注意して守らなければいけないと思いました」「マレーシア・ボルネオ島の現在がよく分かりました。公園内では、環境保全を確かに行っていることがわかりました」「キナバルに行ったような気になった」など、自然を守る大切さを感じていただけたと思います。

カテゴリ:平成27年度

投稿日:2015年11月17日