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過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2~3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。(過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

都会の身近な鳥たちのくらし〜増える鳥・減る鳥

カテゴリ:平成26年度

投稿日:2014年11月11日

平成26年10月26日(日)、環境情報活動センターにおいて環境学習講座「都会の身近な鳥たちのくらし〜増える鳥・減る鳥」が開催されました。講師は科学ジャーナリストの柴田佳秀さんです。柴田さんは、都市で暮らす鳥、都市鳥研究の専門家で、「カラスの常識」(子どもの未来社)、「わたしのカラス研究」(さ・え・ら書房)など多数の著書を執筆していらっしゃいます。
都市鳥とは、食物資源を利用し繁殖や越冬の場所を確保するなどして、都市環境に適応して暮らしている野生鳥類です。カラスを中心に都市鳥の生態についてお話を伺いました。街中で目にする機会のある鳥たちの、あんな話、こんな話、驚いたり納得したり、興味深いお話を聞くことができました。
◎減っている鳥
鳥が暮らしていける環境とはどんなところでしょう。まず、食べ物が確保できるところ、巣を作る場所、つまり卵を産んで育てる場所があること、そして安全な場所に鳥は棲みつきます。その条件がくずれると鳥の生活は危うくなり数が減っていきます。
カラス (写真はハシブトガラス)
(ウィキペディアより)
カラスは人間が出す生ゴミを主な食料としています。カラスは臭覚が発達していなくて、食べ物を目で見て探します。東京で透明のゴミ袋が採用されてから、カラスは食べ物を見つけやすくなりました。食生活の欧米化に伴い、カラスの大好きな油分の多い高カロリーなゴミが増えているのも好都合です。また、カラスが暮らしていくには緑地が必要なのですが、都心は実は緑が多いのです。街路樹も整備され増えています。都会のビル群もカラスには居心地のよい場所です。ビルはカラスから見たら森と同じ構造で、高い木々の間を飛びながら地面に降りて食べ物を採る、というスタイルが通用します。好みの食べ物と居場所が豊富にある東京は、カラスにとって絶好の居住条件を備えたところだと言えます。
ところが、ここのところカラスの個体数は減りつつあります。主な原因は、ゴミネットの普及などのゴミ対策で食べ物を得にくくなったこと、罠が設置されたことです。
柴田さんのお話は、カラスの好きな食べ物を調べる実験や個体数調査、都会でよく見かけるハシブトガラスと湾岸に多いハシボソカラスのこと、カラスの性質などに及びました。カラスは、オスとメスが見分けられなくて年齢もわからず、つかまえて足輪をつけられないので追跡調査が難しいそうです。それでも、地道な調査や観察などを通じて、こんなに色々なことが解明されていることに感激しました。カラスの立場に立って見ると別の側面が見えてきます。カラスは世の中で考えられているほど悪い鳥ではないのかもしれません。
スズメ
(ウィキペディアより)
スズメは人家があるところにいる鳥です。屋根瓦の下など人工物を利用して巣作りをすることが多いのですが、住宅の構造が変わり、巣を作れる場所が減ってきました。また、都会で空き地や庭が減って食べ物を見つけにくくなりました。本来、スズメは藁葺屋根の稲作の地域が住みやすい鳥です。都市の変化に適応できずに減っていっているものと思われます。
ツバメ
(ウィキペディアより)
ツバメは渡り鳥で子育てをするために帰ってきます。主に人家に巣を作りますが、それは人間のそばにいると安全だからです。飛びながら飛んでいる昆虫を捕まえて食べます。
関東全駅1757駅でスズメの巣の有無の調査が行われました。20パーセントの駅で巣が見つかりました。券売機のそばに巣があることが多いそうです。ツバメが人に近いところを選ぶからです。山手線の駅では巣は発見されず、もっとも都心に近い駅は大久保でした。都心で巣が減っているのは、えさになる虫が採れない、巣の材料になる泥が調達できないという理由もありますが、人間が巣をつくらせないようにしているという事情も影響しています。
ツバメは昔から害虫を食べる益鳥として愛されていて、人の暮らしの中に入り込んで暮らしていました。ところが現在ではフンで街を汚す害鳥としてむしろ疎んじられています。人の心の変化が影響して、ツバメは減ってきていると言えます。都市鳥は、人に気に入られないと生きていけないのです。
◎増えている鳥
食べ物、居場所に恵まれている鳥が増えていきます。
メジロ
(ウィキペディアより)
メジロの主な食べ物は花のみつで、ツバキが好物です。都会にはツバキが多く、また品種改良により花期が長くなっています。ツバキのない季節にはツバキ科のサザンカが豊富にあるので、メジロは食べる物に困りません。
イソヒヨドリ
(ウィキペディアより)
元々は海岸の岩場に棲む鳥ですが、ビル街でよく見られるようになりました。コンクリートのビルは、岩場のがけに似ているのでしょう。食べ物は昆虫と木の実です。他にハヤブサ、チョウゲンボウ、イワツバメなども、ビル街を好んで棲みつき増えています。
講座でお話をうかがってから、都会に共に暮らす鳥たちに親しみを感じるようになりました。鳥の鳴き声に注意深く聞き入り、姿を探してしまいます。野生動物はそれぞれが目に見えない形でつながっていて、都市鳥がいなくなってしまうと、他の生物に思いがけない影響が出て来るかもしれません。野鳥の立場に立って考えてみることも必要だと思いました。

カテゴリ:平成26年度

投稿日:2014年11月11日