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過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2~3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。(過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

外来生物と自然環境の脅威について学ぼう

カテゴリ:平成25年度

投稿日:2013年10月25日

平成25年10月6日(日)、環境情報活動センターにおいて環境学習講座「外来生物と自然環境の脅威について学ぼう」が開催されました。講師は「野生生物と社会」学会フォーラム誌編集委員の草刈秀紀氏です。

(1)外来種が増えて、童謡の歌詞も変わる?!
童謡「ふるさと」の歌詞は、「うさぎおいし かのやま こぶなつりし かのかわ ゆめはいまも めぐりて わすれがたき ふるさと・・・・・」ですが、最近は外来種の増加で、子どもの頃から外来種を見て育った人も増えています。この童謡の歌詞が「アライグマおいし かのやま ブラックバスつりし かのかわ ゆめはいまもかわりて わすれさった ふるさと・・・・・」というように、童謡が変わるという世の中になっているのではないかという話に、納得してしまいました。
(2)外来生物ってなに?
 野生生物は国内外に棲んでいますが、家畜や栽培種が人の手を介して国内に持ち込まれたり、人為的に野生生物を国内に持ち込む人、人や物資などにくっついて入ってくることがあります。持ち込まれたそれらを外来生物と言います。国内でも、A地域からB地域に移動したものも外来種になります。例えば現在西表島だけに棲むイリオモテヤマネコを本土へ持ってきたら、本土では外来種となります。
外来種が「侵略的」に在来の動物や植物を食べたり、駆逐したり、生息地を奪ったりすると、日本国内の固有の生き物が少なくなったり、絶滅の恐れが高くなったりします。そのような脅威を与える生きものを「侵略的外来生物」と言います。このような外来種を排除して、昔ながらの自然を取り戻そうとしています。
(3)外来種が増えると
 在来種が外来種に食べられる、生息地を奪われる、寄生生物の持ち込み天然記念物に感染して、交雑による遺伝的な攪乱が起こる(ニホンザルがタイワンザルとの交雑で、純粋なニホンザルがなくなる)、人の健康への影響がある、など、これらが複雑に絡み合って影響を及ぼしており、そのために法律で対処することが必要になりました。
 過度の開発・外来種の侵入や野生生物の国際取引の問題を指摘し、外来種の除去、更に立法措置の必要性について、1980年に地球全体の現状を評価した「世界環境保全戦略」でまとめられています。さらにそれより以前にも同様の指摘がなされています。世界的に、外来生物に対する対応が遅れているのが現状です。
法律による規制の必要性から外来生物法では、105種類の特定外来生物が指定され、飼育、栽培、運搬、輸入、譲渡、放逐が禁止され、根絶や防除の対象となっています。
(4)なぜ生物多様性が重要なのか
 生物多様性とは、生物の遺伝子の多様性や種の多様性、生態系の多様性など一つの種類や地域や気候によっても違うというものです。
きれいなサンゴ礁があるのは、バランスよくサンゴ礁の生態系が保たれているからですが、その状態をジャンボジェットに例えるならば、400万個の部品で安全に保たれているジェット機のパーツがメンテナンスされ機能しているから安全に飛ぶのと同様です。今の地球の生物多様性は、400万個の部品がパラパラと壊れてゆくのと同じなのです。
(5)法律等について
生物多様性の面からみた日本の環境の法体系です。イメージでご覧いただければと思います。

・生物多様性基本法の前文には非常に立派なことが書かれています。以下は簡単なまとめです。
 生命の誕生以来、自然を構成するものによって地球の生態系が形成されており、私たちはその生物多様性によって様々な恩恵を受けている。一方、人間が行う開発活動などによって、生物多様性は深刻な危機に直面してきている。また近年急速に進む地球温暖化等の気候変動も悪影響を及ぼしている。
 生物の多様性を確保し、わが国が国際社会において先導的な役割を担い、次世代に引き継いでいく責務がある。
・生物多様性条約第10回締約国会議が、2010年10月に名古屋市で開催され、179か国、国際機関、NGO等参加し、参加者数は13,000人以上でした。
 この第10回の会議は地球にとって重要な会議でした。その理由は、2010年までに生物多様性の地球の劣化を食い止めましょうという2010年目標があったのですが、具体的な数値目標がなかったためにどこの国も達成できませんでした。このままでは地球が危ないという警告が発せられ、今後、環境を守る活動をしないと、地球の臨界点を超えてしまい、取り返しがつかなくなってしまうという指摘のためでした。
そこで「愛知目標」(愛知で開催された会議での世界の目標)で、持続可能な生産・消費のための計画を行う、水産資源の持続的確保を可能にするなど、20の個別目標が定められました。
・生物多様性国家戦略は、生物多様性基本法の中に義務として作らなければならないと定められています。同戦略が下記の通り分かりやすくまとめられています。

(環境省)
(6)生物多様性を保全するためのメニューの事例
 生物の多様性が重要なのだと言うことが分かっていても、活動するメニューが示されなければ、どのように活動すれば良いか分かりません。様々な活動のメニュー事例の紹介がありましたが、その一部をご紹介します。
�保全・活動
 生物多様性に関する団体に入会して貢献しよう。生きものの豊かな湿地を守ろう。女子の参加が大切。絶滅の恐れのある生きものを救う活動が重要。里山・里地の保全活動に参加しよう。自然公園に行こう。自然観察会に参加しよう。
�資源
 有機野菜を食べよう。MSC(海の資源を持続的に利用する海産物認証による食べ物)マークや、FSC(自然や生物多様に配慮した森林認証における材木や紙製品)マークのついた商品を買おう。
�学習
 自然を写真で記録しよう。シンポジウムや講演会に参加しよう。バイオテクノロジーを知ろう。博物館で自然の仕組みを学ぼう。外来生物について学ぼう。エコツアーに参加しよう。
�研究・技術
 科学的な調査研究に協力しよう。身近な環境診断をやってみよう。
�その他
 企業は積極的に保全活動に協力しよう。募金や寄付に協力しよう。国際条約を学ぼう。生物多様性に関する法律を知ろう。
(7)事務局まとめ
 生物多様性という概念や様々な法律についての話はやや難解でしたが、生物多様性基本法、生物多様性国家戦略、生物多様性保全のために私たちができることなどについて、分かりやすく説明していただき、基本的な理解ができたと思います。

カテゴリ:平成25年度

投稿日:2013年10月25日