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環境情報活動センターでは、毎月2~3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。(過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

鉄道写真から見る自然と環境

カテゴリ:平成28年度

投稿日:2016年12月16日

 平成28年12月4日(日)品川区環境情報活動センターにおいて、環境学習講座「鉄道写真から見る自然と環境」が開催されました。講師は鉄道写真ライブラリー、レイルマンフォトオフィススタッフカメラマンの鉄道写真家、村上悠太さん。鉄道写真の四季、自然、気象条件が見せる美しい世界などの写真をたくさんご紹介いただきました。

●鉄道写真のイメージは
みなさん、鉄道写真のイメージはどんなものですか?という質問に、「SL」という声があがりました。車両が大きく映っている写真をイメージする方が多いと思いますが、それだけではなく、車両がはみ出す写真、紅葉の中を走り抜けている写真、ダムの水面に映る光だけの列車の写真など幅広く様々な表現が考えられます。鉄道写真は基本、人工物を映すものではありますが、「人工物をいかに目立たせないように表現する」ことが、鉄道写真の難しいところでもあり、醍醐味でもあります。

●鉄道写真のコツ
デジタルカメラが多くなって、鉄道写真が撮影しやすくなりました。フィルムで撮影している方は?と質問がありましたが、手を挙げたのは一人だけでした。デジタルカメラには一眼レフカメラ、ミラーレス一眼、コンパクトデジタルカメラなどありますが、どのようなカメラを使っていても、シャッターを押さないことには作品はできません。鉄道写真には、動いているものを撮影するので、1秒間に7コマ以上の連写ができるカメラがあると便利です。

【注】ミラーレス一眼とは一眼レフカメラの鏡の部分をなくしたカメラで、画像センサーで光を電気信号に変えているので、電気信号である画像データを液晶モニターで再現している

●RAWとJPEG
フィルムカメラはフィルムに画像を記録しますが、デジタルカメラはRAWとJPEGと言う形式で画像を記録します。それぞれの特徴は下記の通りです。
RAW →画像のデータが自由に修正できる(情報データが残っているので画質を落とさず修正できる)専用のソフトがないと開けない、トラブルに弱い
JPEG→画像のデータは修正できないが汎用性が高い、高画質でもデータが軽い
専用のソフトがなくても開ける
JPEGだけでは画像処理ができないので、RAWと同時書き込みを選択すると良い。

●気象と鉄道写真
①晴天  作例:枯木灘(かれきなだ)(紀勢本線)信濃川(北陸新幹線)相模湾(東海道線)など
※晴天は青い空が表現できるが、青空だけではインパクトにかける。雲がポイントになる
※青空は海などを狙うなら必須条件

②曇天  作例:鳴子峡(なるこきょう)(陸羽東線)芦野公園(津軽鉄道)など
※曇りではコントラストが低く、落ち着いた表現ができる
※白く映る曇り空を入れず、森や紅葉で大きく入れて撮影すると良い

③雨天  作例:新幹線、秘境駅(坪尻駅)など

※速度の早い新幹線などを映すと水煙が上がり、雨粒を表現できる
※雨に濡れたレールの光の反射などを表現すると良い

④雪  作例:大月(中央本線)、飯山線、など
※白一色など単調になりやすいので、構図をしっかり押さえる

●雪景色の写真(これから使えるワンポイント)
雪景色の最大のポイントは樹に雪がついているかどうかです。クリスマスツリーの雪を思い浮かべればおわかりでしょう。きれいな雪景色は白く美しい写真になりますが、雪がたくさん降っているときは雪景色を撮っても何も見えない状況になるので、列車のアップなどに切り替えて撮影すると良いでしょう。

作例:袋田(水郡線)石北本線留(る)辺(べ)蘂(しべ)駅、常呂(ところ)川(かわ)など

①結氷(ケッピョウ)→川などの水が凍る状況、低温下-15℃から見られる

         寒ければ寒いほど良い

②霧氷(ムヒョウ)→水蒸気や霧が氷点下で冷やされ、樹の枝などに凍りついたもの

半逆光だと霧氷がキラキラ光って映る、9時にはなくなる

③白い排気→加速するディーゼル列車の排気が白く映る現象、-20℃あたりから見られる

北海道で多く見られ、鉄道写真ならではの作品

良く晴れた朝、放射冷却現象が起こると①②③などの現象がみられる。北海道では天候だけでなく、気象も見て撮影すること
【注】放射冷却現象とは地表面が熱を放射して温度が下がり、付近の気温が下がる現象

●鉄道風景写真のポイント
①春  作例:水戸偕楽園駅と梅、伊豆急線と河津桜、山北駅と桜見物の人々など
(山形新幹線と山形城址公園のさくら)

列車とさくらの対角構図を使い、さくらのダイナミックさを表現し、列車と共存させている

※観光協会への問い合わせ、SNSやライブカメラなどで、桜の開花状況を把握して撮影に行くこと

【注】対角構図とは被写体を斜めに配置すること、奥行きや動きが表現できる

②夏  作例:保津峡、リゾートしらかみ(五能線)、南紀白浜の海

(烏山線と沿線のひまわり)

列車にもひまわりにもピントを合わせている。そのため被写界深度を上げて、絞り値F22、シャッタースピードISO1600に設定して撮影している。

※海の撮影にはPLフィルターを使って、光の反射を防ぎ、色彩のコントラストを高める

【注】被写界深度とはピントがあっているように見える範囲のことで、範囲は広いと被写界深度が深いと言い、絞りを絞って(F値を大きくする)表現する

③秋  作例:小淵沢(小海線)の紅葉、ゆふいんの森号と湯布院の森、秋田新幹線

※紅葉写真は画像処理のやりすぎに注意すること

④冬  作例:流し撮りの秋田新幹線、竹田城址近くの粉雪、新幹線「はやぶさ」

※ストロボを使って雪を画面に映しこむこともできる

【注】流し撮りとは被写体を追いかけるようにカメラを動かして撮影する方法

最後に、見る人に何を伝えたいか考えながら構図を作って作品を仕上げてほしい、普段人が行かない時間に撮影に行って、人と違う自分の写真を仕上げてほしいと結ばれました。よりいっそう写真が楽しめるよう、そして興味があれば鉄道写真にも挑戦してほしいともおっしゃっていました。

12月4日のこの日は留萌線(JR北海道)の留萌から増毛までの路線が廃止される日でした。運行終了のニュースをテレビで見て、「早く乗ってみないと終わってしまう」という気持ちになりました。昔乗車したことにある高千穂線もバス路線になってさみしいですし、寝台列車も一部を残して廃止になりました。鉄道は自然環境への負荷が少なく、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量も少ない交通手段です。列車を利用して、移り変わる風景を見ながら、自然環境に目を向けましょう。

今回の参加者のアンケートにもあったように、鉄道写真にも挑戦してみようと思いました。人と鉄道のかかわり方を追求されている村上悠太さんに学び、鉄道も写真も大好きなので、新しい写真ライフに挑戦したいです。

カテゴリ:平成28年度

投稿日:2016年12月16日