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過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2~3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。(過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

再生可能エネルギーの現状と課題、将来展望

カテゴリ:平成28年度

投稿日:2016年11月30日

 平成28年11月21日(月)、環境情報活動センターにおいて環境学習講座「再生可能エネルギーの現状と課題、将来展望」が開催されました。講師は国立研究開発法人産業技術総合研究所主任研究員の櫻井啓一郎氏です。櫻井氏は同研究所の太陽光発電研究センターで新型太陽電池の開発や効率向上、コスト低減の研究に携わっていらっしゃいます。

(1)なぜ今、再生可能エネルギーか?
①化石燃料(石油・石炭・ガス)を使い続けると価格面で、また環境面でもリスクがある。
原油価格が大きく変動しており、エネルギーを輸入に頼っている日本では大きな問題。

②地球温暖化の問題がある。(左下図)

温暖化傾向は明らかで、人為的である確率は95%を超えている。一部に懐疑論もあるがまともな論文はなく、信頼性の差は明らか。

③経済・産業の環境変化が起きている。
化石燃料への投資リスクの増大や、再生可能エネルギー、特に太陽光の劇的なコスト低下、対策関連産業の規模の拡大ということがある。

もし対策なしにこのまま進むと、2050年には世界の年間発電量は今の2倍以上になり、その半分以上が石炭で賄われることになる。温暖化以前に大気汚染被害が出てくる。

これを避けるためには、最低でも世界の電力の半分は再生可能エネルギーにしなければならないと言われている。二酸化炭素の排出量について、再生可能エネルギーを中心にエネルギー源(発電等)側の対策で半分、消費エネルギーの効率改善等、消費側の対策で半分の削減が必要である。(右下図)

    

(2)再生可能エネルギーが求められている背景の再確認

エネルギー資源が枯渇し、地球温暖化が進んでいる。これらはいずれも世界規模の、時間も費用もかかる取り組みが必要である。しかし、やらなければ、それ以上の損失が予測される。つまり対策のための新しい商売を生み出す必要があり、その中で再生可能エネルギーも必要不可欠である。

(3)再生可能エネルギーの大切さ

再生可能エネルギーとは、いわゆる「自然エネルギー」で、持続的に使えるものでなければいけない。使い捨てではダメ。
太陽光、太陽熱、バイオマス、風力、水力、地熱などが実用化されてきており、使える量、期間を見ると、化石燃料が数十年のレベルであるのに対し、再生可能エネルギーは数十億年と桁違いで、人類のタイムスケールからすると無尽蔵である。
重要なことは、人類が使えるエネルギーを増やすということ。
再生可能エネルギーは、製造等に消費したエネルギーの何倍もの電力が得られる。同量の燃料あたりでは、火力発電の10倍以上の電力を発電する。

 

再生可能エネルギーの初期投資は多いけれど、後の費用は少ない。一方、枯渇性エネルギーは使いきりのエネルギーで、使ったらそれっきりである。
再生可能エネルギーは、価格面でも競争力を持ち始めている。
蓄電池は家庭用ではそろそろ元が取れるようになっている。オーストラリアの家庭では、「太陽光発電+蓄電池」の方が電力会社から電気を買うより安くなる、そんな時代になっている。一気に蓄電池の普及が進むことになる。
世界の全エネルギー需要、全発電量に占める再生可能エネルギーの割合は2割程度で、その大部分を占めるのはダム式の水力とバイオマスであり、太陽光や風力はわずかである。
しかし、近年における太陽光や風力の導入はかなり進んでいる。
太陽光は昼間しか発電しないし、曇りの日は発電量が少ないので、太陽光と風力をバランスよく使うことが必要である。太陽光と風力の発電量をまとめて予測し、例えば、明日は曇りで風も弱いとの予測があれば、火力を多めに使うようにしようといったこともできる。一方、需要の方も変えられる。

 

世界で新設発電所の半分は再生可能エネルギーの発電所で、発電量は1割を超えており、無視できない存在になっている。
日本のエネルギー自給率は4%しかなく、今後再生可能エネルギーを増やさないといけないが、日本なりのバランスを考えることが大切だ。現在はほとんど化石燃料に頼っており、再生可能エネルギーでは太陽光中心だが、もっと風力や地熱にお金をかけてほしい。
日本の太陽光発電のコスト低減が遅れている。理由は設計、施工、土地代といったハード以外の費用が掛かりすぎているのだが、ドイツでは低価格で提供できる企業だけが生き残っている。

(4)日本における課題
①太陽光の課題
・現行の全量買い取り制度は、今のようなハイペースでの導入は想定していない。
・品質への懸念・・・人材育成が追いついていない。故障・事故増加の懸念
・資金の使途・・・コスト低減のための技術開発や人材育成、設備投資に回すのが本来の姿
②再生可能エネルギー全体の課題
・国全体のマスタープランの欠如
どの地域に、どの再生可能エネルギーを、どれだけ、どんなペースで導入するか
・情報不足、インフラ不足
・構造問題として

 変化への対応の遅さ、少子高齢化・教育問題&デマの横行、電力だけに議論が偏りすぎ、化石燃料由来リスクの無視や過小評価など

(5)再生可能エネルギーの普及予測例
・石炭やガスが安くなっても、世界の電力の低炭素化は止まらない。
・2040年には発電所の6割の設備が低炭素化に
・風力や太陽光はさらに安価に、太陽光は最も安価な電源に
・太陽光+風力のシェア:現在5%が2040年までに30%になる。
・電気自動車は世界の自動車の25%になる。(蓄電池が安くなっているので)

(6)まとめとアドバイス

 

(7)アンケートから

「太陽光をはじめとする再生可能エネルギーについて、技術的、現状、先進ドイツの例など、最新の情報を得ることができ、有意義な講座でした。」
「多種な公表データを元に明確な講義であったと思います。おかげさまで、今まで誤解していたあるいは疑問に思っていたことがはっきりしました。」
「風力発電をもっと増やすべきと思った。太陽光とのバランスが悪すぎる。」
「再エネの実情がよくわかった。」
「再エネ普及を願います!」
「専門性が高く聴き応えがあった。」

アンケートの一部をご紹介しました。再生可能エネルギーについて、明るい見通しと、一方でなかなか進まない現実を知ることができました。
以上

【講座資料】
講座資料はこちらからご覧になれます。

http://www.slideshare.net/KeiichiroSakurai/ss-69585354

カテゴリ:平成28年度

投稿日:2016年11月30日