品川区の環境ポータルサイト

過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2~3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。(過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

鳥類のくらしと品川の海

カテゴリ:平成24年度

投稿日:2012年10月02日

 平成24年9月2日 環境情報活動センターにて環境学習講座「鳥類のくらしと品川の海」が開催されました。講師は自然観察大学学長 唐沢孝一先生です。
 本講座では先生が7年間かけて行った、これまであまり調査がされることのなかった「磯の鳥の生態」についての、たいへん貴重なお話を伺いました。

 約13万年前の関東平野は古東京湾と呼ばれる内湾が東に広がっていて、古東京湾の湾口は東に開いていた。その後、土地の隆起により水戸から鹿島を経て房総半島まで続くバリアー島と呼ばれる細長い島が形成された。古東京湾は長い時間をかけて隆起や沈降、造盆地運動を繰り返し、現在の東京湾となり、そして今もなお変化を続けています。
陸と海とが接する海岸は「磯」と「砂浜」とに分けられます。海に山がせり出すようなところは波に削られて「磯」(岩礁海岸)になり、平地の部分は砂が波にはこばれて砂浜になります。
 房総半島は三浦半島とともに東京湾を囲み太平洋に面した半島で、特に南房総と呼ばれる半島の南部は磯の多いところです。

 先生の調査は主に房総半島外房の磯で行われました。磯の鳥の調査方法は堤防・岩礁・小島・漁港など月一回の割で、種類ごとの個体数を数え、地元の方の協力も得て7年間続けて行いました。
   
 「磯でくらす鳥」(留鳥)はトビ、クロサギ、イソヒヨドリ、イソシギなど12種類の鳥が観察されました。
イソヒヨドリは品川の辺りでは見られなかった鳥ですが、この頃では品川にもときたま飛んでくるようです。品川の周りの河川や海岸が護岸化されているからでしょうか。イソヒヨドリには岩の隙間、建物の屋根の隙間も同じ磯という事でしょう。
  
イソシギは磯にだけすむ鳥ではなく、日本では河川、水田、磯などにもいます。胸には灰褐色の縦斑があり腹は白い。品川でもコンクリート護岸による磯的な環境が現れ、飛来するようになりました。
</a
 

       伊右衛門島で
クロサギは本州中南部以南海岸の磯に生息し、人が近づけないような崖などに営巣します。磯で捕獲した魚は落としても取り逃がすことのないように、安全な岩場まで移動して頭から飲み込みます。たいへん賢い鳥です。関東で見るクロサギは黒っぽい色(黒色型)をしていますが、同じサギでも南方では白色型が増えています。磯の色に合わせ、保護色になっています。生きるための賢い知恵なのでしょう。
サギ科のダイサギ、アマサギもかつては水田地帯で見られましたが、環境の悪化によるものか、今ではあまり見られないそうです。こうした鳥たちの多くが漁港や磯に出てくるようになりました。
 大磯の海 照ヶ崎海岸では、アオバトが磯の岩場に海水をのみにやってきます。彼らは丹沢山地から飛来してきます。アオバトが海水を飲むのは、繁殖期のアオバトの食物は果実が中心であり、ミネラルが不足.するために海水を飲むといわれています。森の鳥が海に出るのは大変怖いことなのです。海には彼らを狙う猛禽類、また、荒波に飲み込まれてしまう危険もありますので、かれらにとっては大変な冒険なのです。このアオバトも東京湾や品川の海岸、堤防でも観察されています。
「夏鳥」としては誰でも良く知っているツバメがいました。「冬鳥」にはユリカモメ、ウミネコ、ウミウ等7種類が観察されました。
 
 
その他にもトビ、ミサゴなどの「猛禽類」、「稀種・迷鳥」はヤマショウビン、コクガンといった鳥もいました。また漁港で魚のおこぼれを狙う鳥もいます。磯には実にたくさんの鳥が生活していることがよくわかりました。
東京湾の岸辺は、護岸により磯的な環境に変化しています。品川だけでなく、東京全体がコンクリートで固められて、今では砂浜は僅かに残っているだけ。砂浜にいた鳥が減ってしまいました。
鳥たちは、環境の変化により消えてしまった種類もあれば、うまく順応しながら生き残っている種類もいます。身近な品川の海の環境がどのように変化しているのかを、そこにくらす鳥の種類や個体数の変化を通して理解することが大切です。
                                     

カテゴリ:平成24年度

投稿日:2012年10月02日