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過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2~3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。(過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

海へとつながる私たちの暮らし〜しながわの海をとり戻そう〜

カテゴリ:平成22年度

投稿日:2011年02月27日

 平成23年2月27日(日)品川区環境情報活動センターにおいて、環境講座「海へとつながる私たちの暮らし〜しながわの海をとり戻そう〜」が開催されました。講師は神奈川県水産技術センター主任研究員の工藤孝浩さんです。

 東京湾の過去から現在までのお話や私たちの暮らしが海におよぼす影響、そして海を守ろう・再生させようと取り組んでいる活動についてのお話を聞くことができました。
【貝塚が語る古東京湾と古代人の暮らし】
 まず、品川区の海との繋がりと言えば「大森貝塚」、貝塚と東京湾についてのお話です。

横浜市杉田貝塚の発掘現場写真では、2m以上ある貝の層から出て来た大きい貝のほとんどがハマグリだと聞き驚きました。中には保存状態の凄く良い綺麗な物もあり、いくつか工藤さんのコレクションになっているそうです。他に出てきた遺物の中には釣り針があります。見た目は現代とほとんど変わらない釣り針ですが、工藤さん自らが鹿の角を石器で削り作ってみた所、完成まで約一ヶ月かかったそうです。現代では短時間で何個も作れる釣り針ですが、古代人にとって釣り針は大変貴重なものだったに違いありません。
【東京湾の生き物たちの暮らしぶり】
  
 浅い干潟は埋め立てのターゲットとなってしまい、どんどん減少しています。そんな中、現存している東京湾の干潟には様々な生き物が暮らしています。干潟の魚の中でも一番ポピュラーなマハゼのお話では、同じハゼでも自分の体を傷つけながら頑張って巣穴を掘るマハゼと海に捨てられた空き缶を巣穴にするちゃっかり者のシマハゼの違いに驚きと本来ならば海にあってはいけないごみがある事に悲しさを感じました。
また、東京湾の海に住む生き物の中には多くの外来種の存在も確認されています。貝などの付着動物はほとんどが外来種です。そして、外来種の中でも在来種と見分けるのが難しく、同じ餌や住処を求めるカニ類はとても危険な存在です。これにより、チュウゴクモクズガニ(上海ガニ)は今、特定外来生物に指定され日本では生きたまま持ち込んではいけない事になっています。
外来種が紛れてしまう原因として船が大きく関わります。昔から東京湾では外国から来る船が多く、船にくっ付いて日本に来てしまう生き物やバラスト水(船のバランスを取るために入れる水。出港地で入れた港の海水は別の港で排出が行われる)により日本の海に来てしまう生き物など、人間が意図せずに外来種を持ち込んでしまうのです。
【東京湾と市民の暮らしの今昔】
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 東京湾に流れ込む排水は生活系排水が7割を占めています。暮らす上にはやむを得ない排水かもしれませんが、海を汚している事に変わりはありません。そして、下水に流せば下水処理場で綺麗になると思っている方が多いかもしれませんが、今の下水道の多くは雨水と生活排水を一緒の下水管に流してしまう合流式が使われているため、下水処理場の処理能力を超える大雨の時には、海には未処理の水が流されているのです。現在、雨水と生活排水の下水管を分ける分流式になりつつありますが、まだまだ時間はかかるそうです。
また、漁業の規制と廃棄物による埋め立ては東京湾の環境を悪くしています。昔(昭和35年頃)の東京湾では海苔の養殖がとても盛んでしたが、漁業規制により海苔の養殖は無くなってしまいます。海苔は栄養をたくさん必要とし、窒素やリンを効率よく吸収してくれるため、海にはとても必要な物でした。そして埋め立てによりごく浅い海が減ってきています。赤潮・青潮により東京湾にはわずか1〜3mの所にしか酸素がないため、ごく浅い海底は生物が賑わうとても重要な場所です。そんな重要な場所を人はごみで埋め、今歩いているのです。
【東京湾の環境再生へ取り組み】
 
 東京湾は栄養分がありすぎるため人間で言うメタボリック症候群の状態だそうです。そのため、環境再生の取組みはとても重要になります。
海から栄養分を取り除く試みで、海の栄養分を吸収して育つワカメを希望者で育てるワークショップを開催したり、小学校の環境学習でお台場海苔を復活させるなど、他にも様々な活動のお話を聞く事ができ、海のために私達が何か出来る活動がある事を知りました。
また、ヨシ原の再生試験やアマモの再生活動では工藤さんの努力や苦労を聞き、東京湾が再生に向けて歩いている事を実感できました。お話の中には順調に育っていたアマモが昨年の夏に猛暑のせいで枯れてしまった悲しいお知らせもありましたが、枯れたアマモは枯れる前に種を残していたため現在は再生中だそうです。これからの生長に期待が持てますね。
【究極の環境再生—埋め立て地を海に戻せないか?】
 工藤さんは使われていない埋め立て地を掘り、アマモなど生き物に必要な浅い海底にする取組みを10年ほど前から提案しています。最初は反対された取組みですが、現在では国土交通省が埋め立て地を掘り込んだ海水導入池の実験などで海に戻すための準備が着々と進んでいます。この実験で最初はただの水たまりのようだった所にどんどんと生き物が現れた事や人工海岸で湧くようにあさりが自然発生している話から、浅い海底や浜を造れば必ず生き物が増やせる事がわかります。品川の海も浅い海底や浜を作れば素晴らしい海の環境がつくれるのですね。
【海を守るために活動中の芸能人】
 現在放送中の番組「鉄腕!DASH!」において「DASH海岸」の企画から制作に協力をしている工藤さん。この番組では歌手グループのTOKIOがアマモの畑づくりや干潟作りなど様々な事をしています。4月17日の放送にはヨシ原の再生活動について工藤さんも出演予定だそうです。是非、実際の活動風景を見たい方はご覧になってみてはいかがでしょうか?
DASH海岸HPのリンク→http://www.ntv.co.jp/dash/contents/coast/index.html

 講義の最後に工藤さんとは昔からの知り合いのさかな君とさかな君が発見したクニマスについてのお話をお聞きする事ができました。クニマスは人間が環境を破壊し絶滅させてしまったと言われた魚です。これからも貴重な生き物を絶滅させないためにも私達が環境を大切にしていく事は重要ですね。
以上

カテゴリ:平成22年度

投稿日:2011年02月27日