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過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2~3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。(過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

幕末の御台場埋立てと品川宿(その2)

カテゴリ:平成22年度

投稿日:2010年11月13日

11月13日(土)品川歴史館において、環境学習講座「幕末の御台場埋立てと品川宿」(講師:品川歴史館学芸員 冨川武史氏)が開催されました。前回好評だった講座の続編で、豊富な資料をもとに幕末の御台場建設とそれにかかわる品川宿の環境変化について講義をしていただきました。
 
  
嘉永6年(1853年)江戸湾に来航したペリーは軍艦を武器に、通商、蒸気船に使用する石炭貯蔵庫の設置、漂流民の保護という3点を幕府に迫った。幕府は少しでも条約交渉を対等に行うため、御台場の普請を決断、1年4ヶ月の間に6つの御台場が設けられた。
御台場の普請は嘉永6年8月から開始され、必要になった土砂は次のように運ばれた。
1)泉岳寺中門外山土取場→泉岳寺中門外→高輪町往還(横断)→泉岳寺前海岸
2)下高輪今治藩下屋敷(八ツ山)土取場→今治藩松平駿河守下屋敷→高輪町往還(横断)
                   →八ツ山下海岸
3)御殿山土取場→�御殿山→大横町・仮問屋場跡(品川宿横断)→利田新地(カガタシンチ)
        →�善福寺境内→東海寺黒門通→(品川宿横断)→南品川猟師町
土取り、土出しの際に交通が遮断され品川宿に影響を与えたのは3)である。この場所は現在では、ラフォーレ東京の庭にあたり、土がえぐりとられた部分を確認することができる。土取り開始に先立ち、土出しルート上に位置する家屋の取り壊し、目黒川の河口部埋め立て、南品川猟師町内の網干場に掘割を造成する、などの触(フレ)が幕府より出て品川宿の負担は増えた。また、御殿山の土砂運搬のため高輪町、品川宿に迂回路の仮往還道(カリオウカンドウ)が設置され、日中(明六ツ時から暮六ツ時まで:午前6時頃から夜6時頃まで)は泉岳寺から品川宿の間が往来差留(オウライサシトメ:通行禁止のこと)となった。
御台場は江戸だけでなく、全国的に分布している。品川御台場の人足が残した俗謡に似た唄が、兵庫・西宮や北海道の箱館(五稜郭)に残っていることから、日雇い人足(ヒヤトイニンソク)たちは幕府が造った御台場に移動していったのではないかと考えられる。支払われた給料は日当250文で飯がついた。
嘉永7年(1854年)、陸続きの品川御台場である御殿山下御台場の普請が決まり、鳥取藩池田家が警衛を命ぜられ、品川の3つの宿の名主に御用達があった。【品川宿は歩行新宿(カチシンシュク)(品川宿の入口〜法禅寺まで)、北品川宿(法禅寺〜目黒川まで)、南品川宿(目黒川〜海晏寺まで)に分かれている。品川宿は三宿の総称】
御用達の内容は船の用意、水主(カコ:船乗りのこと)の雇い入れ、人夫と馬の手配、旅籠屋への出入り取り締まりで、御台場の普請に引き続き宿場には大きな負担となった。

【品川宿絵図 北品川部分 弘化2・3年(1845・1846)頃成立(品川区史通史編上巻付図より)抜粋】
品川宿には、御台場普請のための家屋の取り壊しなどや御用達の要求に応えたほかにも、さまざまな影響があった。
品川の風物詩であった潮干狩りは、御台場の普請中にも行われ、多くの人でにぎわったようだが、アサリは採れてもハマグリは少々で他は何も収穫がなかったようだ。品川の海は新鮮な魚介類が獲れたことから、品川浦(南品川猟師町)はそれらを将軍家に献上する役目を負っていたのである。この潮干狩りの記事を見ると、御台場が造られた影響で潮の流れが変わり、魚介類の生態に影響が出たのではないかと思われる。
また御台場に据えられた大砲はたびたび試し打ちが行われた。小石川まで聞こえ、家が揺れたという位だから、品川での騒音は大変なものだったに違いない。
海上に造られた品川御台場では下水溝や雪隠(セッチン:トイレのこと)が設けられていた。「下水」は海に流していたが、現在とは違い洗剤など使用していないのできれいだった。飲み水として利用していた「上水」は錐で地面に穴を開け真水をくみ上げていた。御台場の建設された場所は東京湾の浅瀬なので掘ることが可能だったが、塩気があった。真水は飲料のほか、弾を発射して加熱した大砲を冷やすためにも使用された。
今回もう一度、「御台場の埋立て」の講座を聞いて、江戸時代末期、御台場建設に翻弄された品川宿の様子が大変良くわかりました。ふだん全く目にすることのない古文書の資料を読み、当時の様子を伺うと、幕末のあわただしい状況

カテゴリ:平成22年度

投稿日:2010年11月13日