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過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2~3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。(過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

環境問題は江戸時代を見ると分かる

カテゴリ:平成22年度

投稿日:2010年10月17日

 10月17日(日)環境情報活動センターにおいて、環境学習講座「環境問題は江戸時代を見ると分かる」(講師:日本国際戦略問題研究所所長 津田慶治氏)が開催されました。
 江戸時代の知恵を現代にも活かすことができることについて、具体的な事例をもとに説明がありました。また「資源小国」といわれる日本も、発想の転換と技術開発により「資源大国」にもなりうるという明るい話もありました。
 
1.江戸時代とは
 江戸時代の日本は世界的な鉱業国家であり、銅や銀は世界の1/3を産出していました。
一方で為替や手形があり、米相場が立ち、先物取引を認め、商人に税金をかけなかったため商業が大発達しました。しかし時々は商業を規制した享保、寛政、天保の改革が行われました。このようにすでに江戸時代には今日と共通する面が多々あったのです。
 環境を見る思想には「技術中心主義」と「エコロジー中心主義」がありますが、この考え方は江戸時代に調和的な実現をしていました。前者は、自然は多様で複雑だからそのものを調べていきましょうという考え方で、実証的で論理的ではありません。後者は、今日では経済合理性が成り立っていないため苦しいのですが、江戸時代にはそれが成り立っており、またそれが当たり前でした。
2.豊富な石油・資源から脱却
 石油の生産が需要に追いつかなくて、ピークを迎えているという「オイルピーク論」がありますが、いつかはピークを打つでしょう。しかし新たな油田が発見されているので、
「41年」といわれている石油の可採年数は10年、20年前から変わっていません。これからもたぶん変わらない、あるいは増えるかもしれません。一方でコストについては問題があり、石油価格の高騰が予想され、安い石油は消えてゆき、最後行き着くところはバイオ燃料となるかも知れません。高価な燃料になるでしょう。

 製造業は世界に拡散し、製品の付加価値は低くなります。工業製品は安くなり日本では作れなくなり、海外生産に移る一方で石油やプラスチックなどの資源や素材は高くなります。日本の資源に目を移すと、近年木や竹は切っていません。コストが高いからですが、これらを見直してみましょう。日本には資源がないから、埋まっている資源を掘り出すのではなく「資源を作る」という考えです。
3.脱石油=資源創造:日本の役割
 江戸時代には資源を生み出すという考え方やアイデア、技術がありました。今日で考えれば太陽光や水資源など自然系でエネルギー資源を生み出すということです。資源は他の豊富な資源から転換することができ、発酵技術、加工技術、リサイクルといったことは江戸時代の真似ができます。
 江戸時代の一番大きな資源は何だったでしょう?トイレ!です。
便を肥料とする、人が多いところでいろいろなものを生み出す、つまり都市の近くは資源が豊富なのです。リサイクルできれば資源は十分にあるのです。「もったいない」という精神はエネルギーを使わないことにつながります。環境を考えるときの基本は「4R」ですが、すなわち使うエネルギーを少なくするということです。

 製造業が世界に拡散し供給過剰になり、途上国の消費を活性化し、資源価格が上昇します。一方でリサイクル価格は安くなり、資源からの製造価格と同じくらいになるときが来るでしょう。世界最大の「鉱山」は東京になります!例えば、携帯電話をしっかりリサイクルしたら日本は世界最大の「鉱業国家」になるのです。また都市鉱山の回収技術の研究で、ペットボトルの完全リサイクルが進んでいます。

4.発酵技術−硝酸カリウム(火薬)
 むかし発酵技術で爆薬を作りましたが、戦国の時代が終わった江戸時代には爆薬を作る必要がなくなり、その技術を使って花火を作りました。
また近年、発酵技術でうまみ調味料や甘味料を作りました。開発当時は大変高価でしたが、現在は非常に安くなっています。要するに資源を生み出していることになります。
エタノールに関しては、ブラジルはサトウキビから自動車用燃料を作っています。米国はとうもろこしからエタノールを精製していますが、食べ物から作ったら高くなるのは当たり前です。

 一方日本は木材チップや雑草から作る研究が進んでいます。またすすきを原料としてバイオエタノールを作るのですが、すすきは地上部が枯れると栄養分を地下茎に蓄えます。痩せた荒れ野や耕作放棄地に栽培が可能であり、永続的に利用できます。そんな知恵が日本にはあるのです。また藻から作るバイオ燃料は大いに期待でき、ある大学教授は「2025年に日本を石油輸出国にする」とまで言っています。
5.水資源
 水の需要増と世界的な水不足がアジアを中心に進んでいます。雨水利用は日本が最初で、東京ドームに降った雨を地下に貯めていますが、都市型の洪水防止です。都市で降った雨を都市で利用します。こういった発想をするのは日本人なのです。

6.本草学−園芸は江戸から欧州へ
 貝原益軒が著した日本版本蔵書「大和本草」は園芸の基礎になり、趣味人が研究しました。このように日本では薬草から園芸へとつながり、ユリ、ツツジ、ツバキ、サザンカなど日本原産のものがたくさんあり、日本から欧州に輸出されました。
7.その他様々な日本人の知恵
 水車は誰にでも作れるものではありませんでした。水をどういった角度で受けるかで水力、回転力が大きく変わるため和算が必要でした。全国各地に水車があるということは、和算の教科書が広まっていたということです。技術は何かに使われていたからこそ発達したのです。

 フランスのある企業を訪問したとき、「サンセイ(運動)」(フランス語で)と書いてありました。何かと聞くと、「整理・整頓・清掃」であるといいます。世界で日本の料理人が活躍しているのは、日本料理の材料重視によるところが大です。これらは日本の文化が世界で必要にされている時代になっているということです。
【結論】日本は資源に早く手をつけないと企業は成り立たない時代になりました。
【感想】むかしから日本人は多くの知恵を出し、新たな技術開発をしてきており、今後も可能でしょう。そういったことにより「日本は資源国」になるという話でした。確かにそうだなと思いました。
さらに技術開発が進めば食糧問題や石油危機も回避できるといった話で、勇気付けられる思いで聞くことができた講座でした。

カテゴリ:平成22年度

投稿日:2010年10月17日