品川区の環境ポータルサイト

過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2~3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。(過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

「次世代自動車」ってどんな車?

カテゴリ:平成21年度

投稿日:2010年02月28日

 平成22年2月28日(日)、環境情報活動センターにおいて環境学習講座「『次世代自動車』ってどんな車?」が開催されました。講師は、一般社団法人 次世代自動車振興センター事務局長の桝田剛司さんです。
                   
●はじめに・・・環境問題の本質を見届けましょう
頭の柔軟体操です。
<問題>カエルが3匹並んでいます。真ん中のカエルは大人でしょうか、それとも子どもでしょうか? 

答えは「大人です」。カエルの子どもはおたまじゃくしです。
高校生には簡単すぎて「当たり前じゃないか」と言われましたが。
ここで言いたいことは、問題の本質を見届けることの大切さです。
「環境にやさしい」と言えばすべて良いことのように聞こえますが、よく考えてみましょう。カエルが大人か子どもかと聞かれたときにそうしたように、その範囲の中だけで物事を判断していませんか?
例えば、バイオ燃料は再生可能エネルギーでありCO2の排出サイクルは環境にやさしい燃料ですが、その採取のためにジャングルが更地にされては、とても環境にやさしいとは言えません。バイオ燃料と聞くだけで環境にやさしいと考えるのはさきほどのカエルと同じです。それがどのように作られるのか本質を見届ける必要があります。大人1人が1日に吐き出すCO2の量は、20m級の杉の木20本ものCO2吸収量に相当します。私たちは何が本当に環境にやさしいのかを見極めつつ、生きてゆくために緑を大切にし、CO2の排出を抑制する必要があります。
                  
●電気自動車の歴史
電気自動車は19世紀の後半、ガソリン自動車より早く誕生し、アメリカの富裕層で人気を博しました。しかしガソリン自動車の性能の向上やガソリン事情の好転により電気自動車は姿を消して行きました。
1970年頃モータリゼーションの進展に伴い大気汚染が深刻化し、自動車の排ガス規制が行われたため、国が中心になって電気自動車の研究開発を開始しました。その頃日本で開発された電気自動車として、大阪万博の時に登場した電気自動車を覚えている方もいると思います。
  
↑1930〜1940年代の国産電気自動車  ↑左写真が大阪万博で活躍した電気自動車(275台)
1990年頃にも電気自動車の第2回目の波が訪れ、自動車メーカーが中心になって研究開発を再開しましたが、電気自動車の普及は進みませんでした。その理由は車両価格(電池価格)が高い、1回の充電で走ることができる距離が短い、充電時間が長い、電池の寿命が短い、充電インフラが整っていない、故障時にすぐに対応できないなど、結局市場から駆逐されました。
                  
●次世代自動車とは
「低炭素社会づくり行動計画」(平成20年11月政府発表)では、現在新車販売のうち約50台に1台の割合である次世代自動車を、2020年までに新車販売のうち2台に1台の割合で導入するというものです。
これは大変高い目標です。それでは次世代自動車とはどんな自動車でしょう。以下はその主なものです。
�電気自動車
バッテリ(蓄電池)の電気エネルギーで走行する自動車
�ハイブリッド自動車・・・最近人気の車です
走行状況に応じてエンジンとモーターを使い分けて(同時または個々に作動させて)走行する自動車で、電気自動車の欠点を補い、電気自動車とガソリン車の長所を取り入れた自動車
�プラグインハイブリッド自動車
外部充電(家庭の電源から充電)できるハイブリッド自動車
�燃料電池自動車
燃料電池という発電機(*)を車に備えている自動車、即ち発電機つき電気自動車
(*)水素と酸素で発電する(水の電気分解の逆反応で電気を作り出す)
 
○電気自動車は非常に将来が期待されており、次のような長所がある一方で課題もかかえています。
(長所)
・エネルギー効率が高く、走行中の排出ガスがない ・騒音や振動が少ない 
・製造部品が少なく、メンテナンスが楽
(課題)
・一充電あたりの走行距離が短い ・充電時間が長い ・車両コストが高い ・電池の寿命が短い
課題はすべて電池に起因するわけで、電池開発が進めば一気に解決される可能性があります。
現在かなり解決されつつありますし、長所は更に伸ばされつつあります。
○ハイブリッド自動車は次世代自動車の中で最も普及が進んでいますが、課題もあります。
・エンジンとモーター(バッテリ駆動)の組み合わせで走行し、飛躍的に燃費が向上しますが、化石燃料を燃やして走る車であることには変わりはありません。バッテリ駆動の割合が増えれば増えるほど電気自動車に近づき、環境にやさしい車になります。そのためには電池性能を向上させ、もっと軽くて小さな電池の開発が求められます。
○燃料等の補給
・電気自動車・・・主流は自宅充電
・ハイブリッド自動車・・・エンジンで発電するため充電装置は不要、ガソリンタンクを併設
・プラグインハイブリッド自動車・・・自宅充電とガソリンタンク
・燃料自動車・・・水素と酸素で発電するため充電装置は不要だが、水素充てんの設備が必要(これは課題)
                      
●電気自動車普及に向けて
・ソニー損保が自家用車を所有し、環境に関心がある20〜50代の男女1000人を対象に2009年に行ったエコカー意識調査結果によると、「エコカーに買い換えることは環境に良い」という人が88.4%で実に9割近い人が感じているにもかかわらず、「コストがかかってもエコカーを選びたい」人は26.6%と4人に1人しかいないという結果になっています。さらに、「価格差にかかわらずエコカーを購入する」人はなんと2.6%(100人中3人)しかいないというのが現状です(*)。
つまりエコカーは環境に良いから購入したいが、経済的に見合わないと購入につながらないということが意識調査からはっきりと出てきており、なるほどなと思います。
・電気自動車を単なる移動手段と考えるだけではなく、大型の電池を積んでいる電化製品と考えると・・・
車の電池から電気を取り出して家庭に供給するとか、レジャー施設へ行って車から電気を取り出して電気バーベキューをするといった発想が生まれてきます。ユーザーに対していろんな電気自動車の将来の可能性について啓発活動をすることによって普及につながるのではないかと思います。
・E.M.ロジャースが「イノベーション普及学」で述べている「普及曲線」(下図)というものがあります。  
   
新しい製品が出てきたとき、普及につながるまでにどういうプロセスをたどるかというものです。
まずは新しい製品という感覚で無条件に買ってくれる人(イノベーター)が2.5%いるといいます。まさに上記(*100人中3人)の人たちです。
続いて周りに口コミをしてくれる13.5%の人(オピニオンリーダー)が市場を引っ張ってくれます。そして16%のラインを超えると普及は加速すると言われています。
電気自動車はまだ導入初期であり、私たちは「電気自動車は確かにいいよ」といってくれる人を増やし、16%(イノベーター+オピニオンリーダー)のレベルまで持っていくことが必要だと考えています。
「なかなか興味を示さずに導入末期になってやっと重い腰を上げる」という人(ラガード)が16%いるのも事実です。
             
●近未来のクリーンエネルギー自動車
 現在のガソリン車、ディーゼル車などはハイブリッド化、ハイブリッド車はプラグインハイブリッド車にといったような進化をしながら、また電気自動車や燃料電池自動車の普及もあわせ、一つの種類に収れんするのではなくて、目的や用途に合わせて使い分けられる時代がしばらく続くと思います。
                 
●電気自動車の歴史から今日に至る様々な課題と現状、今後の見通しについて判り易く聞くことが出来ました。CO2削減のために電気自動車を中心とした次世代自動車の早い開発が待たれています。開発は確実に進んでいるとは言え、実用化にはかなりの年数が必要と感じました。一方では世界的な企業の提携が進んでおり、今後を期待したいと思います。

カテゴリ:平成21年度

投稿日:2010年02月28日