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過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2~3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。(過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

「南極を知る、体験する」

カテゴリ:令和元年度

投稿日:2019年07月05日

令和元年6月16日(日)、環境学習講座「南極を知る、体験する」が開催されました。毎回反響の大きい人気講座です。㈱ミサワホーム総合研究所の元日本南極地域観測隊越冬隊員の井熊英治さんが講師を務められました。井熊さんは、今までに4回、通算3年4か月の間、南極観測隊の建築担当の設営系隊員として任務に就かれた経験豊富な隊員さんです。映像とともに巧みな話術で語られる貴重なお話は大変興味深く、おおいに盛り上がりました。
南極は日本から14000kmも離れていています。南極観測隊は、オーストラリアまで飛行機で行き、そこから南極観測隊「しらせ」で南極へ向かいます。昭和基地までの船旅は、2~3週間、帰路は5週間もかかります。船旅の動画の荒れ狂う海の迫力には圧倒されます。観測船は、左右に80度も傾き、船旅で体重が15kgも落ちた人がいるそうです。「命を懸けないといけないところに来たと覚悟する」と井熊さんはおっしゃっていました。基地に近づくと海は凍っているので、基地から40キロ地点でヘリコプターに乗り換えて南極に辿り着きます。日本からはるか遠く離れた南極はどのようなところで、南極隊員はどんな生活をしているのでしょうか。

(1)南極の自然環境
①とにかく寒い!
日本の昭和基地の観測上の最低気温の記録は-45.3℃、ロシアのボストーク基地の最低気温は、なんと-89.2℃です。井熊さんは、昭和基地で-38.5℃、ドームふじ基地で-58.0℃の寒さを実際に経験されています。これだけ寒いと何が起こるのでしょうか? 耳が凍る、1時間に1回解凍しないと完全に凍って取れてしまう、など、驚きの現象が起こります。

②すごく風が強い!
風速60メートル/秒でホワイトアウトが起こり、視界が白一色になり、まわりが見えなくなります。風速60メートル/秒のブリザード(極地の猛吹雪を伴う強風)は、時速220kmの新幹線の屋根で感じる風速に相当します。

③昼と夜がヘン!
白夜(12~1月中旬)には、太陽は出っ放しで沈まないで、ずっと昼です。極夜(6~7月中旬)には、太陽は1日中昇らないで、地平線を東から西に転がるように移動します。

 (2)南極観測隊の生活
南極観測隊はどんな人たちなのでしょうか。隊長の元、観測部門と設営部門の人が働いています。1年4か月駐在する越冬隊が25~40人、4か月の夏隊が15~20人です。隊員は、1業種につき、派遣されるのは、ひとりかふたりです。ですから、建築作業をするときには、研究者や医師など他の業種の隊員に協力してもらうことになるので、色々な人とうまくやることが必要となります。
基地の中は意外と快適で、室温18℃で床暖もあります。温めた空気が逃げないように工夫して余計なエネルギーを使わないようにしています。食事は一流の料理人が作ります。日本にいるときに比べて、1日当たり1000キロカロリー多く取らなくてはなりません。基地内で水耕栽培で野菜を育てています。雪を溶かして風呂やトイレで使います。ゴミは分別して日本に持ち帰ります。バクテリアを浄化槽で処理して粉にすると、軽いし臭いもしません。インターネットがつながっていて、動画も見られます。娯楽係がいて遠足を企画したり、40人は入れるかまくらを作ったり、‐30℃の屋外で凍りながらアルゴリズム体操をしたり、ホームランを打つとアウトというルールの野球をしたり、厳しい自然の中で任務を遂行する一方で、息抜きや、仲間とのコミュニケーションを大切にしているのですね。

(3)南極の氷
南極の雪の結晶は、120種類くらいあります。湿度と気温で形が変わるのです。南極の氷が溶けたと仮定したら、世界の海の高さはなんと50メートルも上昇します。一方、北極の氷が溶けてもほとんど変わりません。何故こんなに違うのでしょうか。南極は氷の大陸です。氷の厚さは平均2000㍍、最高4700メートルにもなります。地球上の真水の75%~90%が南極にあります。北極は海に氷が浮いている状態です。
1,2年前に南極から持ち帰ったほんものの南極の氷を観察してみました。氷をくだいてコップに入れて、ひとりひとりに配りました。2万年前にできた氷です。氷には泡がたくさんありますが、雪の隙間に入りこんだ空気が閉じ込められてできたものです。まず、触ってみて、次にコップに耳を近づけて聞いてみました。パチパチと音がします。溶けた氷から空気が弾け出た音、そうです、2万年前の空気の音です! 今度は、手でコップに蓋をして、手にどんなにおいがついたか嗅いでみました。なんのにおいもしません。南極の水はきれいで、不純物が入っていないのです。

(4)南極のいきもの
動画で南極のいきものの様子を見せてもらいました。こどもたちに大うけで教室は、笑いと歓声につつまれました。動物園では愛らしいアデリーペンギンの野生の姿、怒っているところ、ずっこけた場面、瞬きをするとき、下からもまぶたが上がる様子など、目が離せません。130センチもある巨大な皇帝ペンギンの生態も見ていきました。ペンギンの結婚事情、けんかや巣作り、育児の様子には爆笑の渦。
厳しい自然の中で生き延びるための動物たちの行動にも触れることができました。下の写真では、カモメがアザラシのそばでずっと待っています。あざらしがうんこをするのを待っているのです。あざらしのうんこに含まれているわかめや昆布を食べるためです。南極の陸地には肉と魚しかないので、南極の鳥は、自力ではそれ以外の栄養を取ることができないのです。

 
(5)南極の自然現象
南極で見られるオーロラ、太陽が地面をころがる極夜、蜃気楼、ダイヤモンドダストなど神秘的な自然現象の動画を見ました。

子どもたちの好奇心が高まった実り多い2時間でした。最後に井熊さんから、「みんなは、可能性の枠を拡げるために勉強をしている、好きなことを追求し、行ってみたい、やってみたいという気持ちを大切にしてほしい。」という言葉をいただきました。

カテゴリ:令和元年度

投稿日:2019年07月05日