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目黒川と京浜運河

カテゴリ:記者レポート(平成20年度)

投稿日:2008年08月15日

 1975年から京浜運河に棲息する貝の観察を始めて33年、現在も続けています。
運河の中、観察を始めた頃は僅か7種類の貝しか見られませんでしたが、最近は見違えるほど色々な生き物が見られます。今回の報告は、「川がきれいになれば海もきれいになる」という現象を捉えた1996年の出来事についてです。 
観察を開始した当初は砂浜に打ち上げられる種類も少なく、釣り人が釣上げる貝で棲息を確認していました。
 1995年までは運河の中の貝は非常に少なく、記録された種類は20年間で30種(2008年8月現在は97種を記録)、定着種は15種<グラフ1>でした。その内で砂浜に打ち上げられた貝8種<グラフ2>と砂浜に打上げられない7種(釣り人による)が見られました。  
 ●2008年8月現在までに記録された種類のグラフです。

 ●砂浜に打上げられる貝で、常時見られる種類(定着種)だけのグラフです。
  1996年に大きく増えていることがわかります。
  (1996年の変化時)

 1996年までは、一年に1〜2種類が新たに記録されて行く感じで、このままでは私が観察を続けられる間に50種を記録出来るのかなと思うほどでした。
ところが1996年になると一挙に12種類もの貝が新たに見られました<グラフ1>。
また今まで釣り人によって確認できるだけの一部の貝が砂浜に打上げられる様になり、普通に東京湾奥で見られる種類の貝が運河の中に現れ出しました。これは観察を始めて以来約20年間において初めて運河の中で見る大きな出来事でした。これでやっと東京湾奥の他の場所と棲息形態は同じようになって来た感じを受けました。現在もこの時に見られた種類は生存していています。 

 特に印象に残る貝では、1979年に1個だけ見つけたクレハガイです。自然の海岸でもなかなか見つけることが難しい貝で、レッドデータブック(絶滅のおそれがある希少な野生動植物をリストアップした資料/国際自然保護連合)でも希少種とされています。最初は何故この貝が運河の中にいるのか、信じられませんでした。そしてこの貝が運河で再び見られたのが1996年だったのです。実に17年ぶりに見つかった貝、そして2000年からの定着につながって行きます。都会の中でこんな貝が棲息しているのも驚きです。

●クレハガイ                      ●キセワタガイ
2個体目が1996年に見られ、             1996年から見られだしました
2000年から数も増えて定着しました            
  

 1996年、この現象が何故起こったのか最初は全く分からず、何か原因が無くてはこんな現象が起こるはずは無いと考えていましたが、その疑問の答えが1995年から大田区の呑川(のみがわ)に下水処理水を流し始めたとの新聞記事でした。その中に目黒川にも同様に流し始めたとの内容があり、これが1996年の変化の答えでした。それ程1996年の変化は過去20年間の観察状態と違っていました。またこの年を境にハゼの酸欠による浮き上がりが減り、ハゼの酸欠からの回復までの日数も以前の一週間から数日に短くなりました。
 目黒川への下水処理水の放流は京浜運河に良い影響を与えてくれましたが、やはり川は流れが無いといけない、そんな印象を強く受けました。
一方、家庭排水の影響が大きいとよく聞きます。流しに流す水を少しでもきれいにして頂ければ更に運河の水もきれいになり、赤潮や大雨の時の魚の酸欠ももっと減らす事が出来ると思います。皆さんのちょっとした努力で運河の「住民」(*)も暮らし易くなるのではないかと思っています。
*運河の生き物を品川区の「海の住民」と呼んで観察を続けています。


平成20年8月10日
青野良平(記者NO.070103)

カテゴリ:記者レポート(平成20年度)

投稿日:2008年08月15日

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