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過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2〜3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。 (過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

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トラと生きる・ネコと暮らす〜街・動物園から野生まで

カテゴリ:平成22年度

投稿日:2010年08月26日

 平成22年8月26日(木)に品川シアターにて環境講座「トラと生きる・ネコと暮らす〜街・動物園から野生まで」が開催されました。講師は動物園ライター 森 由民さんです。
トラをはじめとしたネコ類を中心に、環境に適応した分化について、また人間の活動がトラやツシマヤマネコなどに及ぼしている影響についてお話していただきました。


(1)ネコ
 まず、我々に一番身近な動物イエネコについてのお話です。ひと口にイエネコといっても実にいろいろなネコがいますが、それでもネコの祖先はたった一種類なのです。アフリカ付近に生息するリビアヤマネコを人間が飼いならしたものが現在のイエネコであると言われています。
世界中にイエネコが広まったのは穀物をネズミの被害から守るということが大きな動機であったようです。つまり、人間社会の営みが大きくなるにつれ、人々は作物を貯蓄するようになり、作物を食い荒らすネズミは大変な困りものになりました。そこで登場したのが小型の肉食野生動物のヤマネコです。最初は遠巻きに家のまわりをうろついていた野生ネコですが、次第に人間に飼いならされ、いつしか人間に可愛がられるペット、現在のイエネコとなったのです。


 次に、日本に生息する野生ネコについてのお話です。日本には2種類の野生ネコがいます。ひとつは長崎県「対馬」のツシマヤマネコ。そして、もうひとつは沖縄・西表島のイリオモテヤマネコです。これらのヤマネコはアジアに広く分布するベンガルヤマネコの亜種で、特に、ツシマヤマネコは朝鮮半島などに住むアムールヤマネコと同一亜種とされています。つまりこのあたりはかつて陸続きで、動物たちは大陸からわたってきたのでしょう。
 
ツシマヤマネコ            虎耳状斑
 たくさんいるイエネコとツシマヤマネコ(野生ネコ)を見分ける一つの方法は、ネコの耳の後ろの白いところで、これを虎耳状斑といいますが、これはイエネコにはないヤマネコの特徴なのです。
かつては対馬でたくさん生息していたヤマネコも、現在では、その数100頭足らずまで減少しており、絶滅の恐れのある希少動物なのです。その理由としては島の開発に伴う森の伐採や交通事故、またイエネコや野生化したノネコとの接触による感染症などがあげられます。
ネコに限らず、人間に飼われた動物たちは人間の都合で捨てられています。生きものを飼うには、それなりの知識と責任、生きものの命を最後まで守る覚悟が必要なのは言うまでもありません。

(2)トラ 
 トラは最大のネコ族です。インド北部からネパールに住むベンガルトラから最北のアムールトラまで多くの亜種がいます。ロシアから中国の東北部に住む体格の大きいアムールトラ、インドやネパールに住むベンガルトラ(ホワイトタイガー)、スマトラトラはインドネシアのスマトラ島に住んでいます。カナントラは中国の南に住むトラです。アムールトラは大きいものでは全長3m近くになるものもいて、ネコ科最大の猛獣です。北方種ほど体が大きいのは、保温効率効果により、大きい方が体温が奪われにくく凍えないからなのだそうです。それぞれ環境に適応しているのですね。
    
ベンガルトラ            ホワイトタイガー



ジャガー
 人間の目からは大変派手に見えるトラの縞模様やジャガーの斑点なども、獲物となる、色の区別が曖昧な動物にとっては、逆に識別しにくいということなのです。
ここで参加者のみなさんには黄色のパラフィン紙に葉っぱや草をマジックペンで描きこんでもらい、スクリーン上のトラをパラフィン紙越しにゆらゆら揺らしながら透かし見てもらいます。少し見えにくいですね。この派手な模様が森の中での狩りの際には、意外とカムフラージュになっていることが分かります。
 

 しかしトラの生き延びる環境も、人間が主役のこの世界では年々厳しくなっています。現在までに三亜種のトラが絶滅しています。カナントラも極めて絶滅するおそれのあるトラと言われています。人間の生活がより豊かになり、また人間がより便利さを求め、山や森の開発をし続ければ、野生生物は生きる場を失うことに繋がります。人間を含めた地球上のすべての生物がこの大地の中でうまく調和し、共存できるような生き方をどうしたらできるだろうか、森先生の動物たちへの深い思いが参加者一人ひとりの心にひびく講座でした。

カテゴリ:平成22年度

投稿日:2010年08月26日

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