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過去の講座を紹介します

環境情報活動センターでは、毎月2〜3の環境学習講座を開催しています。リサイクル講座・木の実などを使ったクラフト講座・自然観察などのフィールドワーク・夏休み子ども講座・環境教養講座など、多彩な内容でお送りしています。 このコーナーでは、講座のレポートを掲載していきます。 (過去の講座を紹介しますのトップへ戻る

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身近な自然観察〜鳥・花・虫を楽しむ〜

カテゴリ:平成21年度

投稿日:2009年06月16日

 平成21年6月16日、品川シアターにて環境講座「身近な自然観察〜鳥・花・虫を楽しむ〜」が開催されました。
講師は自然観察大学副学長唐沢孝一先生です。今回は、先生のライフワークでもある自然保護の活動を通してのお話、また写真をみながら自然観察のノーハウを分かりやすく解説していただきました。先生のジョークを交えたお話に会場では終始笑い声が絶えませんでした。

     
ツバメ
 日本では水稲栽培において、ツバメは穀物を食べず稲にたかる害虫を食べてくれる益鳥として大切にされてきました。これは水稲栽培をする国の特長だそうです。ツバメはイワツバメとツバメの2種類います。普通のツバメは民家の軒下に営巣しますが、イワツバメは集団繁殖というようなコロニーを作ります。
 ツバメの世界も大変競争が激しく、せっかく作った巣をカラスやスズメによく奪われます。ですから、弱いツバメは民家の軒下や商店街のアーケードなど、人がたくさんいるところに巣をつくります。カラスやスズメは人に追い払われますが、ツバメは大事にされるからですね。ツバメもそのへんのところよく心得ています。
 かつては東京の都心でもツバメの巣がたくさんありましたが、今ではわずか数ヶ所だそうです。その理由として、ビル建て替えによる新建材の使用でツバメの巣の泥がつかないこと、またカラスが非常に増えたこと、最大の原因は都心に人がすまなくなってしまったことがあげられます。

    
アカホシゴマダラ
 日本では奄美大島でしかいないチョウでしたが、今では、関東地方にまで分布がひろがっています。東京でも何年も前からこのチョウが増えすぎの状態です。人為的に日本国内に持ち込まれたものが、気候風土が好適であったため、南方系のチョウも越冬できるようになったのでしょう。

         
ヨコヅナサシガメ
 肉食性のカメムシで光沢のある黒色をしている。他の昆虫の体液を吸う。この写真はガガンボに口吻を差し込んで中に消化液入れています。獲物を捕食してから消化するのでなく、溶かしてから吸うので胃への負担が少ないのです。大変合理的といえます。この虫は桜の木に多くいて、この木を昇ったり、降りたりしてくる他の昆虫を捕食します。
 羽化したばかりの成虫のときは真っ赤な色をしており(一日くらい)、やがて黒色に変身します。5月頃見ることができます。もともと関東地方にはいなくて、ごく最近になって増え始めた南方系の帰化昆虫といわれています。
  

    
ツマグロヒョウモン     
 このチョウが千葉の市川付近ですごくふえているそうです。品川にもたくさんいるはず、ということです。もともと、近畿以南にいたものが温暖化により北上し、今では関東地方でもあたりまえになってしまいました。幼虫の食草はスミレ科植物で、もし、庭やベランダのパンジーが食い荒らされていたら、間違いなくこの幼虫がいると思ってよいそうです。蛹はゴールドに輝いてとてもきれいだそうです。こんなところにも身近な自然観察ができます。
 一昔前には見たことの無いチョウや昆虫がすごい勢いで増えています。生物はいろいろな環境条件の積算した値で生きているので、南方系の生きものが日本で越冬できる環境条件がトータルにそろったということです。昆虫や鳥などの生態系によっても環境の変化が見て取れます。
  
    
フタモンアシナガバチ 
この写真はフタモンアシナガバチの巣と女王バチです。5月頃、梅雨の前。ぶら下がっている黒い部分は、アリが巣に忍び込んで幼虫を食べないように工夫をしたアリよけの忌避剤なのです。雨にぬれると臭いも流れてしまい、巣はアリによくアタックされます。従って、長梅雨だとハチの巣は少なくなり、空梅雨の年は多いのです。巣を数えればその年の梅雨状況が分かるとも。

    
ホウネンタワラチビアメバチ
 葉の裏側にぶら下がっているホウネンタワラチビアメバチの繭。大きさは5〜6ミリ、成虫は8ミリほど。 稲の害虫であるフタオビコヤ蛾の幼虫にタマゴを産み付け、蛾の幼虫を食べて育ちます。結果稲を守ってくれる益虫です。ですから、この繭が多いいと害虫が減り豊年だということになります。それでホウネン、俵に似ているからタワラ、小さなハチなのでチビアメバチという長〜い名前がつきました。

     
ヒメギフチョウ       
 このチョウは東北から北海道にかけてはたくさん見られますが、関東地方では群馬県の赤城山しかいなそうです。山麓にある渋川市の南雲小学校ではチョウを守るための観察会や、ヒメギフチョウの食草であるウスバサイシンを植えたりして、全校あげて自然教育に取り組んでいます。
 木を切ってスミ焼きをしていた頃の日本では、森は明るく、太陽の日差しを受けた森には、ヒメギフチョウの食草であるウスバサイシンがたくさん生えていました。しかし、プロパンの普及とともに、森は木が鬱蒼と生い茂り、チョウの食草も育ちません。結果、チョウは減少してしまいました。
 この小学校では親たちが森の下刈をして、そこに子どもたちがチョウの食草を植えています。こうした作業を通して子どもたちは身をもって自然教育を会得しています。
 自然教育とは「自然は大事だ」という言葉だけで覚えるのではなく、その辺にある植物、動物、鳥も含めて、その環境を生きている生物を通して環境を知ることなのです。先生は、これからも「自然保護を大事にする輪をずっと広げてゆきたい」、それが私の夢なのです、と、結ばれました。
  

カテゴリ:平成21年度

投稿日:2009年06月16日

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